映画パラサイトにボディブロウのように揺さぶられた話
映画「パラサイト 半地下の家族」について、本当に何も知らなかった。
パルム・ドールで賞をとったということも、なんなら韓国映画ということさえも知らなかった。
たまたま、どうやら面白いらしい、という噂話のみ聞いだけで、
「じゃあとりあえず見てみるか」と居酒屋で「とりあえあず生」というサラリーマンのような感覚で見ること決めた。
予約を取ろうとスマホをポチポチしてみると、
残席がほとんどなく滑り込みセーフ状態で席を確保できた。
やはり人気らしい。
なにも映画のことを知らないくせに、なぜだかこの映画のことを勝手にコメディものだと思い込んでいた。
そしてそこだけは変な自信があった。(なんでだよ)
ただただ笑えるということをひとり期待して、なんならワクワクしながら開演を待った。
しかしどうだろう。
全然違う。
勝手にコメディと思っていたのは、本当に本当に勝手な思い込みだった。
見終わってみると、心にパンチをされてしばらく脳震盪のようにフラフラしているような感覚になったのだ。
見終わったあと「面白かったねー」というような薄っぺらい感想なんてすべっても口に出せない。
もっと深くて深くて、そしてどの切り口から感想を述べたらいいのか迷うほどいろんな観点が盛り込まれていた。
見終わったあと、たいていどの映画でも「おもしろかった」だの「○○の場面って△△だったね」と連れ添って見ていた人同士で感想を言い合うのが聞こえてくるのだが、
今回に限ってはその声が聞こえなかった。
そのくらいダメージを受けてしまっていて、周りの音を聞くほどの余裕が自分になかったのだろう。
こんな映画いままで見たことがあっただろうか。
見終わったあとに考えさせられたことがあっただろうか。
この映画を見たひとと語り合いたい。
格差社会について。
その相互パラサイトについて。
はたまた臭いについて。
映画を見終わってもうすでに一週間ほど経つけれど、いまだ心の震盪状態は治っていない。
ちょっと気分転換に、Netflixで全裸監督でも見るかな。(その選択どうよ)