ぱんこの日記

ていねいなくらしのために、ゆらゆら書きます。

新しい自分で

さぁ、どうしようか。

いよいよ、逃げられないような気がしてきた。

 

6年前、営業職をしていた私は体力・気力ともに疲弊し、白旗を挙げた。

それは、誰のせいでもなく自分が自分を追い込んでしまった結果だった。

売上を上げなければ、成績を伸ばさなければ、そして誰よりも優秀でいなければ、とクソにもならないプライドを胸に秘めていたために、自分で自分を潰してしまった。

「もう限界です」

そう言ってしくしく涙を流す私に、当時の上司は「体力がきついのなら、仕事の配分をかえるからどうか」と問いかけた。

いや、そうじゃない。

仕事の配分を減らされたら、もっと気持ちが滅入ってしまう。

周りは頑張っているのに、自分だけ仕事を減らしてしまったら、私は頑張っていないということになってしまうのではないか。

ひいては、「みんなよりやってない」自分を自ら創出することになり、会社に居づらく恥ずかしいことになる、と。

そもそも、後輩や同期の中で抜きんでることができないのが悔しくて、とても耐えられない気持ちになっていた。

抜きんでるためには、もっと体力が必要で、そして気力も必要で、でももう頑張れないほど疲れてしまった。

そんなことを赤裸々に話すと、上司は「俺は評価している。それじゃだめなのか?」と聞いた。

口には出せなかったけれど、何度も心のなかで「それじゃダメです」とつぶやいた。

その理由はわからないけれど、ただ「それじゃダメだ」と繰り返し思っては、この営業職から退くことしか考えられなくなっていった。

でも今ならわかる。

その理由は、どうでもいいプライドによるものだった。

自分をよく見せたい、みんなから評価されたい、できると思われたい、という愚かな気持ちだった。

母には、「できなくてもいいじゃない」と言われた。

でも、できなくちゃだめなの、と思った。

そして、できなくてもいいと思えたらどんなに楽なのだろう、と涙があふれた。

上司に辞職の意を伝えると異動を提案され、そうすることにした。

その時、「この選択は逃げるということになると思うけどいいのか」と上司に何度も聞かれた。

それでもいい、とその度に答えた。

 

それから6年ほど経った今、あのとき逃げた課題がブーメランのように戻ってきてしまったな、と驚いている。

いや、驚きというより落胆といったほうが正確かもしれない。

またしても、だ。

またどうでもいいプライドが邪魔している。

 

弱い人間ほどよく吠えるというけれど、それは間違いなく私のことだ。

本当に私は何もできないくせにプライドだけは高い。

だから、そんな自分を放り投げてしまおうと思う。

そんな自分は殺す。

ちっぽけな存在だという真実を受け入れて、何もできない自分を受け入れて、仕事の中に小さな楽しみを見つけていこう。

できなくってもいい。

明日からは、そんな新たな自分で。