研修して分かった、デキる(だろう)人の特長
ここのところ、とても疲れている。
寝ても寝ても、どうもぐったりしてしまっていて、暇さえあれば寝てしまいたい衝動に駆られながら仕事をしている。
それはどうしてかというと、持ち合わせているパワーのほとんどを新入社員の研修にぶつけているからにほかならない。
59人の若者たちの前に立ち、話をし、ときに指導をする、というのはことのほか疲れる。
おそらくそれは、緊張もあるだろうし、相手が理解しているかどうかを確認するために、身体全身がアンテナになっていろんな情報を受信しようとしているからだろう。
こんなにも疲れることを、学校の先生は毎日やっているのか、と思うと感服すると同時に感謝しかない。
少し話が逸れてしまったが、そうゆうわけで今とても疲れている。
そんなある日の朝礼でのこと。
わたし)おはようございます。それでは、本日の研修を始めます。号令お願いします。
新人)起立。礼。お願いします。
新人全員)お願いします。
このあとは、一日のスケジュールと目標の話、事務連絡をする予定だった。
なのに、座った途端に、一番前に座っている子が、おおおおーきな口をあけて欠伸(あくび)をしたのである。
ついつい目が丸くなった。
そんなことがあるか?
一気に怒りが頂点に達した気の短い私は、朝一で怒ったのである。
いや、こっちだって怒りたくはない。
疲れているうえに、ムダなパワーを使いたくないのだ。
本当なら、お願いだからこちらを怒らせないでくれよ、と言いたいくらいだ。
しかし、これは見過ごすことはできまい。
はい、朝いちばんで、大きな欠伸をした人がいますね。どうしてそんなことができるのでしょうか。我慢できないなら、せめて手で隠すとかそんな配慮はできないのでしょうか。とても失礼です。実は、昨日もそんな人が多数いました。前に立っていると本当にいろいろ見えます。(以下、省略)ということで、しっかりしてください。
立て続けにスラスラと言葉が出てきて、止まらない。
あー、こんな自分は出てきてほしくないのに。
しかし仕事だから仕方ない。
あくびの彼の気持ちも、よーくわかる。
そりゃ、聞いてる方も疲れるよ。
でもよ? 朝一でそりゃないだろう。
というわたしも、もしかしたら、過去の新人研修で大あくびをしていたこともあるかもしれない。
人のことは言えないかもしれない。
それに、人のことをとやかく言えるほど、わたしは完璧ではない。いや、むしろ不完全すぎるくらいだ。
なのに、こんなことを言ってしまうなんて。言わなければいけないなんて。
と、このような叱りモードの後は、必ずと言っていいほど、こう思うのだ。
そんな時、59人を見渡すと、目を伏せているひと、あらぬ方向を見つめ続けているひと、そしてこちらを直視しているひとと、さまざまだった。
はじめはそれを何となく見渡していたのだけれど、ふと、そこにある法則があることに気付いた。
それはこうだ。
目を伏せている人は、ふつうゾーン。
あらぬ方向を見つめている人は、やる気ないゾーン。
そして、こちらを直視している人(だいたいが姿勢がとても良いのだが)は、向上心のあるゾーン。
というふうに。
勝手にカテゴライズするのも、どうかと思うが、でも実際そうなのだ。
彼らには毎日日誌を書いてもらっているのだが、だいたいそれでその子の習熟度や成長度が分かってしまう。
この情報を感覚的にインプットしているのだが、これか講義を受けている態度と、日誌内容の濃密さとが、キレイに相関関係として出来上がっている。
でもそうよね、と思うのだ。
だって、相手の話をどれだけ真剣に聞いているか、でインプット量や質は大きく変わってくるわけだのだから、至って当たり前の話なのだ。
デキルひとって、きっとデキルというわけではなく、相手の言葉を自分の中に吸収しようとすることに長けているひとのことなのかもしれない。
と、なんとなくそう思った今日この頃。
というわたしも、あらぬ方向を見つめる、やる気ないゾーンなのですけどね。