ぱんこの日記

ていねいなくらしのために、ゆらゆら書きます。

Webマーケティングのセミナーに参加したら、そこは異世界だった

やばい。仕事でWebに携わりたいって言ってしまった。

入社してから6年ちかく、パソコンやネットワークなどの営業をしていた。それなのにパソコンにもネットワークにも興味がまったくわかず、むしろ年を追うごとにどんどん嫌いになっていく。だって、難しくて覚えられないんだもん。営業のくせに、細かいことは分からない。「こうなったらいいですよね~」という夢を語ることと、金額の算出と、世間話くらいしか私にはできなかった。だから技術的なことは、どんな些細なことでもSEに相談して協力してもらっていた。下手なことを言って、致命的なことになってしまうことで迷惑をかけたくなかったから。SEからしたら、いつもすぐ電話してくるし、付きまとってくる私はとてつもなく迷惑な営業だったと思う。けれど、私の周りにはいいひとばかりで、みんな温かくて協力的だったので何とか仕事ができていた。ありがたい。こんな感じだったので、まったくといっていいほど知識がない。「L2スイッチ? うーん。L3よりは重要な機器なんだよね? じゃあ、壊れたときのために予備機買っときましょう!」みたいな。いいか悪いかは分からないけれど、私自身はお客様に「調子はどうですか?」「何か困ったことはないですか?」とお声がけをするポジションを徹底し、技術的なことはSEさんに聞いてくださいね(もしくは聞いてきます)という白黒はっきりした営業スタイルだった。

4年前に今の販売企画の部署に異動してもこのアレルギーはご健在で、パンフレットやカタログなどの紙の媒体の販促物ばかりに手を出し、インターネットとかホームページとかそうゆうことにはなるべく近づかないようにしていた。それが世のため、人のため、自分のため、だと思ってたから。なのに、柄にもなくホームページでのマーケティングに興味を持ってしまった。今のご時世、ホームページでの販売戦略をしっかりしないと絶対だめでしょ、とか生意気にも思い始めてしまった。しかも、結構あつく。なにかの時に競合企業のホームページを見て、これはいかん、と思ったのがきっかけ。ちょっとうちのホームページ全然だめじゃん、と。思いがけず熱が高まってしまった。そんなタイミングで上司との面談があり、ジャストナウなその想いをぶつけてしまった。あぁ、言わなければよかった。なんであんなこと言ってしまったんだろう。いつもこうだ。気持ちが先走ってしまうのだ。でもこれが自分の性分だからあきらめるしかない。よし、こうなったら知識をつけよう。じゃあ、手始めにセミナーにでも行ってみるか、とトントン拍子にことが進み、無料セミナーに行くことになった。

時間ぎりぎりに会場に到着すると、すでに後列の席しか空いていなかった。おぉ、かなり注目されているんだな。とりあえず空いている席を見つけ、そそくさと座ってまわりを見渡す。Macパソコンを開いているひと、オフィスカジュアルなひと、茶髪のお兄さん、など普段あまり会わないような人たちがいた。もちろん、スーツの人もいるのだけど、自分が場違いなのではないかとびくびくしていたので、見慣れないものに目を奪われる。

「それでは、セミナーを開始いたします」

おぉ、はじまった。見るからにIT系の35~6くらいの男性が話しはじめた。最初はよかった。「ITマン」は少し早口だけれどとても分かりやすくて、どんどん話にのめり込んでいった。ついていくのに必死だった。しかし、時間が経つにつれ、ITマンも気持ちがのってきたのか、「少し早口」が「かなり早口」にシフト。それと同時に、専門用語の集中砲火。「デモグラ」だの「コンバージョン」だの、意味不明な言葉を使いだすようになったのだ。文脈から読み取ろうにも、読み取れない。完全に蚊帳の外。意味は分からないけれど、メモだけでも、と聞き慣れない言葉をひたすら書きとめ続けた。最後のほうは、よく口が動くなー、とか、頭いいんだろうなー、とかセミナー内容とは全然関係ないことに思考回路がいってしまいITマンの出す結論とは生き別れてしまった。ただ、この日のセミナーのおかげで、これから勉強しなければならないことがたくさんあるということだけは、よく分かった。

同じ日本人なのに、分かり合えないこの感じ。共通言語をもっていない感じ。新入社員のころを思い出した。先輩に営業同行をさせてもらって、お客様先での最初の世間話は楽しく聞けていたのに、いざ商談に入るとチンプンカンプン。なにもかも分からなくて、知らない単語は出来る限りメモを取っていた。この日もまったく同じような状況。ここ数年で、必死にメモをとることなんてあっただろうか。最近は、ノートは眠気を紛らわすためだけに使われていた。かわいそうに。久しぶりに本来の目的として使われるノートもさぞかしうれしかっただろう。私も、新入社員のときの気持ちを思い出して少しうれしくなった。

あの時のフレッシュさはもうほとんど残っていないけれど、あの時の自分を見習って少しだけがんばってみようかな。この気持ち、続きますように。