あるかしら? あってほしいと思うこと
いつからか、「妄想」することを忘れていました。
中学生のころは、好きな人に声をかけられたら「もしかして、このあと体育館裏に呼び出されて、好き、とか言われちゃうかも」とかよく妄想していたものです。
アルバイトの面接に受かれば、「きっとかっこいい人がいて、彼氏ができるかもしれない」とか自然に思っていました。
彼氏ができれば、「きっと結婚するんだろう」と。(しつこい?)
どの妄想もたいていその通りにはならなかったけれど、それを考えている間はとても楽しかった。
とにかく妄想をすることが日常で、そのおかげもあって毎日楽しかったのかもしれません。
なのに、社会に出てからでしょうか。
妄想することが、少なくなっていることに気づきました。
いや、ほぼなくなっていました。
それはきっと、仕事脳になってしまっているからかもしれません。
「現実的か」「リスクはあるか」「コストはどうか」ということばかり考えている毎日。
できるだけ効率的に仕事を進めるために、理想よりも現実を優先しなければならない日常。
それでは、「夢」を語れなくなって当たり前なのです。
もちろん理想を描くことはあります。
けれども結局は「現実的」に考えて、自分の考えを、自分でつぶしてしまう。
あぁ、なんてつまらないのだろう。
なんて閉鎖的なのだろう。
頭の中はせめて、どんどんお花畑が広がっていって、そこで転がったり、歌ったり、踊ったりしていたいのに。
いつから「夢」をもったり、考えに「アソビ」を持たなくなってしまったのだろう。
そのことに気づいたときに出会ったのが、あるかしら書店です。
そこは「こんな本、あるかしら?」と尋ねてくるお客さんに、たいてい「ありますよ」といっておすすめする本屋さん。
ヨシタケシンスケさんの絵本の中にある本屋さんです。
王様のブランチで紹介されていて、なんておもしろい本なんだろう、と絵本にもかかわらずすぐに買いました。
絵が可愛いのはもちろんなのですが、その発想力に「はっ」としたり「ふっ」と思わず笑ってしまうのです。
あぁ、どんなこともそんな風に考えられたら、楽しいだろうな、人生が豊かになるな、と気づかされました。
たとえば、本が好きな二人のための「書店婚」とか、読書生活をよりよく送るため、感想を聞いてくれたりはげましてくれる「読書サポートロボ」だったり。
その発想、どこからきた!
どれも、あったらいいな、あったら面白い、というものばかり!
これを読んでいるだけで、ヨシタケさんから妄想のおすそ分けをしていただいているようで、幸せな気持ちになるのです。
今、私が一番欲しいものは「妄想力」なのかもしれません。
きっと、幸せな妄想ができれば、頭の中はいつでもハッピーできっと幸せなはず。
周りの人に気持ち悪いと思われるかもしれない、変なやつと思われるかもしれない。
けれど、頭の中は自由なんです。
きっと、この妄想力がつけばもっと幸せになれる、そう思います。
現実的な毎日にちょっと物足りないひとに、おすすめです!
紹介した本:『あるかしら書店』(ヨシタケシンスケ著・ポプラ社)